「しなの」はセンチメンタルな感傷など吹き飛ばすようにぐんぐんスピードを上げ、矢田川の鉄橋を渡って名古屋の市街地をあとにする。懐かしの中央西線ではあるが、私は意外にも全線を通しで乗ったことがわずか一回しかない。しかも今回はほぼ三〇年ぶりの再訪だ。ちょうどお昼時だったので、名古屋駅で駅弁を買い込んでの乗車である。迷った末に買ったのは「名古屋TOP3弁当」という名古屋名物のおかずを三つ集めたもの。三つとは、味噌かつ、チキンライス、えびふりやあ(エビフライ)である。あけてみるとサラダのキャベツの脇にパスタ風の麺が添えてあったが、箸でつついてみると「きしめん」だった。久しぶりの本場のきしめん。駅のホームの立ち食いきしめんコーナーを見つけそこなっただけに嬉しかった。勝川では脇に殺風景なコンクリートの高架橋が近づいてきて、プッツリ途切れる。