世界遺産の登録の要件として、その国が遺産を保護するフレームワークを整備する必要があることから、世界遺産に登録する前に、まず国内法によって国宝などに指定されているのはある意味では当然のように思える。実際、日本の建築物の国宝指定が二二二件、世界遺産のうち文化遺産が一〇件(ただし、「古都京都の文化財」が一七の社寺・城郭、「古都奈良の文化財」が春日山の原始林を別にすると、七つの社寺・都跡など、一件に複数の物件の登録があるので、実際に世界遺産に登録されている建造物は、五〇件近くになる)という数字を見ると、世界遣産に登録された建物は、まず間違いなく国宝であろうと想像できる。
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ところが必ずしもそうではない。「日光の社寺」の二荒山神社は、二本の太刀を国宝として有しているが、建物自体は国宝ではない(ただし、本殿、拝殿、唐門など主要な建物のほとんどは重要文化財となっている。同様に、京都では、天龍寺、西芳寺(苔寺)、龍安寺、鹿苑寺(金閣寺)、奈良の「法隆寺地域の仏教建造物」では中宮寺、法輪寺、「紀伊山地の霊場と参詣道」では熊野三山の神社が国宝ではなく、また「琉球王国のグスク及び関連遺産群」がある沖縄には国宝は一件もない(二〇〇六年三月、文化審議会は「琉球王国尚家関係資料」を沖縄としては戦後初の国宝に指定するよう答申した)。